対等性

先日読んだ『ブラザーズ・ブラジャー』について少し考えている。「対等性」という言葉が筆者へのインタビューで語られていた。作中で大人はときに壁になって主人公の前に現れるが、それは通過儀礼的なものではなく、ふと日常に立ち現われる危機(それは友人との仲違いと同じような位置)として描かれている。また大人がひかりをもたらすシーンもあるけれども、それも年長者という立ち位置ゆえそうなっているわけではない。身をもって得た個人としての実感が、主人公たち子どもにヒントを与えているという印象だった。大人も子どもと等しく、傷つけ傷つけられる一人の人間として描かれ、主人公たちと噛み合っていくところに面白さと新しさがあったと思う。


こういう、何か特別なキーワードやフレーズを使わなくても一つの思想(というと大仰な感じがするけれど)が伝わってくる作品が私は好きだし、自分もそういうものを書きたいなと思う。

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