今日読んだもの

田島列島「水は海に向かって流れる」
一巻だけ。面白いしセリフもいいのだけれど、最終巻まで買うか悩む。

柳宗悦「京都の朝市」
京都には多くの市があったことを知る。弘法天神の他に、壇王の市、淡島の市、北浜の市という市の名前が出てくる。だんおうは法林寺として、淡島は全く想像がつかない。北浜は京都駅近くにあった内浜のことだろうか。京都で浜というと高瀬川の南あたりのイメージがある。浜といえば島だから淡島もその辺りか。でも「北」ではないのだよなあ。などと考えながら読む。近代の文章は二重に楽しい。

池辺葵「プリンセスメゾン」
一巻だけ。とても良かった。焦点のあてられた人物の心情を情景描写に投影する様が巧みで日記的だと思う。沼越さんと要さんと亜久津さんが親子連れがマンションへ帰っていくのを見つめる見開き1ページが特に印象的だった。1ページ、なんなら1コマでその人の生活の基礎とその上に成り立つ息遣いまで感じられるからすごい。

各々の生活を礼賛するのでなく、そこに生じる嬉しさ悲しみをただ描いているだけなのがいい。それは、お金はないよりある方が、派遣より正社員が、独身より結婚している方が、子どもがいないよりいる方が、幸せで格上なのだという生きていく中で私たちに刷り込まれてしまう寂しい物差しを取り外してくれる。私はそういうことを物語に求めているからとても嬉しかった。

これ2015年に出てたのか。もっと早く読んでいたら、もう少し楽に生きれたかななどと思う。

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