バンド

昼寝から起きるとワイヤレスイヤホンが届いていた。

さっそくテナーの新譜を聴く。耳が良くないのでイヤホンが変わったとしても自分には違いが分からないだろうと思っていたけれども全然違った。そもそも聞こえていなかった音があったことに驚く。

同じクラッシュでもフレーズに合わせて撫でるように、荒っぽく、遠くまで伸びていくように、一打一打叩き分けるその手つきが浮かぶぐらいだった。「流星群」のサビのアタックは(これは打ち込みだと思うけど)水面に一点、強くて重い力が加わって細かな飛沫が飛び散るような、なんというか星屑感が出ていて、文章を書くときに言葉を選択するように、楽器も伝えたいことによってそう伝わるように叩き方を選択していくんだったよなという当たり前のところに立ち戻る。一曲に込められたメッセージというのは歌詞とメロディで表現されていることがすべてではないのよね。

「こういう感じ」という一つのイメージもしくはメッセージに向かって、歌詞とメロディ、それをどう構成するかというところからどう演奏するかに至るまでのプロセスが楽器単位にあり、そのプロセスは常に周囲と調整しながら行われていき、一つの曲が仕上がる。バンドって奇跡じゃん(そしてなんて時間的お金的人的コストがかかるんだ!)っていうこれも当たり前なんだけれどそういうことを久しぶりに考えた。あとワイヤレスっていいですね。

物を作りだすにはところには愛があり、愛とは丁寧さであると前に書いたけれども、その愛を掬い取る行為もまた丁寧さであり愛に支えられていると思う。

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