冬

1週間ほど前まで私よりも先に起きていた子どもは「おはよう」と言ってもスースー眠り続けるようになった。「下降りるよ」と言うと上半身だけ起こしてまた掛布団に埋もれる。私が眠っていたら「おーきーてー」と叫んでいたのが嘘のようだ。

保育園から帰って手を洗うと、私が夕飯の用意をしているあいだにまずハムを食べ、ソーセージを食べ、食パンを食べる。夕飯もすべてたいらげる。

本来人間はこういうものなのだなあと思う。夏は活発に、秋になるとよく眠りよく食べ冬を越し、いつかくる春にむけて力をためる。人間も動物だ。かくいう私も朝は眠くて仕方ないし、退勤する頃にはぐうぐうお腹が鳴っている。

今年に入ってコンビニをよく使うようになった。スープとおにぎり1つとミニどら焼き1つを買ったら800円近くで驚いた。たしかに110円のおにぎりなんて塩むすびぐらいしかなかったな、昔は110円のおにぎりの中からどれを選ぼうかと迷っていたのに。もうクーポンありきになっているのだろう。なんだかそういう、クーポンとかポイントが使って得、ではなく使わないと損、になっている現在の世はさもしい。退勤する頃にはやっぱりお腹がぐうぐう鳴って、時代は変わっていないようで変わっていっているのだと思いながら自転車を漕いだ。