夢に縋る

久しぶりに夢を見た。中年の夫婦が子どもの成長を祝ってくれた。どうやら子どもは高校を卒業したようで、卒業式の後、食堂の隅で大きな瓶のお酒を用意してくれていた。その食堂は、むかし同級生の家が営んでいたお店に少し似ていた。けれども海のそばにある感じがして、地元ではなさそうだ。そのうち音楽が流れ出す。「たーたたたたたたたーたーた」と私はメモしているけれども、夢の中のメロディはもう思い出せない。自分たちのことを心から祝福してくれている温かい感じだけが今はある。

夢は創作物ではない。そこに「願い」や「祈り」や「思い」はない。なのに心が温かくなるから不思議だ。けれども夢は経験がつくっていると思うから、思い出がそうさせてくれているのだろう。いつか一人になったとき私は夢に縋るだろう。

0コメント

  • 1000 / 1000