いつか忘れる生活

新居の引き渡しが終わる。昨年からお世話になった担当の方とお別れし、荷物をひたすら運ぶ。子どもと一緒に本を読めたらと思い、リビングには大きな本棚を作ってもらった。近所に古本屋さんができて、週末に通うようになり家族みんな本を読むようになったのが昨年の春。それが計画に直結したわけではないけれども、その古本屋ができなかったら、その古本屋さんがいい本屋さんじゃなかったら、この新居にはならなかったと思う。

今まで蓋付きボックスに収納していたこれまで読んできた本を本棚に並べながら、ああ自分にはこんなに好きで大切なものがあるのだなと実感して安心した。本と、過去の自分に今の自分を肯定されたようで心強かった。これが毎日目に入る場所にあると思うと嬉しい。

大型の家具家電の搬入はまだなので、明日まではまだ現在の家でご飯をたべお風呂に入り眠る。ベッドで子どもを寝かしつけながら、今まで暮らしてきた部屋のことを思い出していた。学生時代の下宿、新卒のときのマンション、新婚のときのマンション。その時々、その部屋は当たり前に私の生活だったのに、今はもう思い出せないところも多い。この部屋もそうなるのだろう。古ぼけたクリーム色のキッチン、なぜかランプをつけないと回らない換気扇、と言葉にするほど、覚えておけない、書きとめられないことがするすると落ちていく。

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