思い出すことのほうが多くなった

近所のジュンク堂へ行くと売り場がリニューアルされていた。かつて文芸誌が置かれていた棚あたりがごっそり移動して文具売り場になっていた。ロフトやneueに行かねばないようなかわいい文房具も置かれるようになってうれしい反面、こんなに大きな書店でも本だけでは難しいのかなと思ったりする。文芸誌の売り場は少し小さくなっていた気がした。今となってはもう比べようがないけれども。

配置も変わっていたのでウロウロする。こんなのあったらいいなと思っていたデザインの本はなく(こういう、自分の想像上の本を探すのに大型書店はうってつけだと思う。ネットよりも見渡せる気がする)、以前インスタで見かけて気になっていた『さみしい夜にはペンを持て』を衝動買いして終わる。衝動といえるのか分からんけど。

それからパン屋で食パンを、コロッケ屋さんでコロッケを買う。「サンキュー」と言いながらコロッケ屋の主人が揚げたたてのコロッケを手渡してくれた。別に390円ではなかったよなと思いつつ温かい紙袋を抱えていると、ふと高校生のとき帰り道の肉屋さんでときどきコロッケを買って食べながら帰っていたことが思い出された。その店主も面白いおじさんで、ある日「生まれ変わったら何になりたい」と尋ねられた。どうやら寄り道した高校生みんなにきいていたようで私が「また私になりたい」と答えると、おじさんはその答えを待っていたよという感じで嬉しそうに笑った。ただそのあと私が「また私に生まれて違う人生を送りたい」と付け加えると、あからさまにがっかりしていた。

私でよかった、私じゃなかったらよかった、そのあいだを行ったり来たりしているのはあの頃と変わらない。ただそれが自然な状態であると受け入れられているのが、変わったところだと思う。

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