やりたいこと

近くの大学の学園祭へ遊びに行く。キャンパスの建築はレトロで美しく、小川が流れ、いろんなところにベンチがあり隣には大きな木が植っていて座って休めるところがたくさんあるのが印象的だった。ゆとりあるキャンパス。一方で模擬店の客引きの数も押しもすごくて引いてしまう。首からパネルをかけて「あっちでチュロス/たこせん/ベビーカステラ売ってるんでよかったら来てください」と笑顔で、明るい声で話しかけてくる彼や彼女。この中にひとりぐらいなんでこんなことしてるんだろうって思ってる子いるんだろうなと、なんでこんなことしてるんだろうと思いつつその場で生まれる関係や課せられる責任に流されながらなんとなく4年間を過ごしてしまうタイプの人間だから思ってしまう。

鉄道研究会を探しに入った校舎は明治期が舞台の映画に出てくるような佇まいで、奥の方からジャズが流れてくるのがこれまた何かの映画のようだった。ジャズ研が演奏をしていたのは宗教行事に使われている部屋なのか、アールデコ調の装飾が施された小さな舞台があり、舞台の床も長机も木造で、年数分濃くなった茶色は日が入っているところだけ飴色に変わっていた。壁には経典のようなものがずらりと並んでいた。楽器が珍しかったのか子どもも聴きたいというので2曲だけ聞いていく。部屋の雰囲気とジャズは見事に調和していて、6人編成のバンドはとても格好良かった。部屋を出たところに掲げてあったバンド名は「〇〇(多分演奏家の名前)やりたいバンド」で、そのネーミングが学生らしくて笑ってしまう。やりたいことが自分を守ってくれる、と思う。結局、鉄道研究会はどこにあるかわからず見ずに帰った。

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