ピエール・バイヤール『読んでいない本について堂々と語る方法』

ハウツーかと思いきや(そういう部分ももちろんあるんだけど)そもそも「本を読んでいない」とはどういう状態なのかに始まり、モンテーニュやエーコの著書を例に挙げながら「本を読む」という行為そのものについて語るという哲学書みたいな趣があって面白かった。SNSが一般的になり“ヴァーチャル図書館”が日常的になった今、出版当時より多くの人に響くのではないかなと思う。
最後の種明かしにはやられた〜と思ってしまった(いまだに読書、教養=神聖なものと思っている証…試されている……)そんなユーモアも潜んでいたり、詭弁かと思わせるような語りもあったり、本が持つ曖昧さを体現していて、そういう意味でも面白かったです。

“われわれが読んでいない本について語るときに問題になるのは(略)われわれが自分自身についていだき、また他人にも与えている自己イメージという、もっと深刻な脅威でもあるということである。”

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