桜庭一樹『東京ディストピア日記』

2020年1月から2021年1月までの著者の日記。ああそんなこともあったなあとかそういうこと考えてたなとか「同じだ」と思う部分がありつつも、自分自身の実感と違うところもあった。この相違は、この日記の舞台が東京ゆえ起こっているものであり、その相違がディストピア感を引き出しているとも思った。タイトル通り、この日記はコロナ禍の状況を綴ったものであり、現在の「東京」を克明に綴ったものでもある。東京という都市も、これから先、大きく変わっていくのだろうと感じた。


昔、東京はまだ「東京」かという話になったとき、ある人が「なんだかんだそういう部分はある。政治の中心があるから。それは他の都市には絶対にないから」と言ったことを思い出した。


エピローグのストレートな語りも良かった。内容そのものもそうなんだけど桜庭さんがストレートに語っていることそれ自体に少しほっとした。

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