最近読んだ作品

金曜日の夜、山下紘加さんの「あくてえ」読み終える。家族は丸い円。みんなの帰る場所。けれどもその「つながり」と呼ばれるものの実態はつけこみ/つけこまれる関係性ということもあり得る。善意につけこまれないためには拒むしかないけれども、「つながり」は拒むことを許さない。だから私は「あくてえ」をつくしかなくなる。地獄のループの予感を残して物語は閉じる。

宇佐見りんさんの「くるまの娘」、新胡桃さんの「何食わぬきみたちへ」ときて、この作品。どの作品も重い、圧倒的、と言いたくなるけれどもそう言うことで零れ落ちてしまうなにかが絶対にあって、だから言えない。


今日読んだのは佐原ひかりさんの「一角獣の背に乗って」。お嬢さま学校、一角獣を捉えるために集められた少女たち、と一般的にイメージされる少女小説をベースにしながら、少女に近寄ってくる男の理不尽さや、それを助けようとする大人の都合のよさを的確に描き出した作品。かなりパンチが効いていて、何枚も上手で、なにより徹底的に少女の味方なのが良かった。これが令和の少女小説だと言いたくなる。

0コメント

  • 1000 / 1000