夏の京都

昨日は下鴨納涼古本まつりへ。京都の古本市は京都本がたくさんあるから嬉しい。京都に興味が向いているのもあり主に京都本を見て回る。徳力富吉郎の版画集、『京都に残った公家たち』、洛陽堂版の『花物語』を買う。

徳力富吉郎の版画はたまに京都の文具屋さんで季節の葉書を買って手帳に挟んでいたりしていたのだけれど、画集を買うという考えには至らなかったというか、こうして目の前に現れてはじめて「ああ手元に置いておきたいな」と思う、古本まつりらしい出会い方をした。『京都に残った公家たち』は今図書館で借りているけれども、もう手元に置いておく方がいいなと思っていたところだったのでちょうどよかった。『花物語』は装丁が可愛くて。もう持っているけれども300円だし……という軽い気持ちで買えるのが古本のいいところで恐ろしいところ。

もちろんすべてを入念にみることはできなくて、文庫の漱石全集があれば欲しいなと思っていたのだけれども見つけられず。昼過ぎに糺の森をでて出町で冷やしうどんとゆずサワー。たまらなく美味しかった。隣には古本の袋を提げた大学生の男女がいた。
清水寺へ移動して六斎念仏を。途中で引き返したくなるぐらい暑かった。本堂まで行くといくらか涼しく、こんなにも標高差があったのだなとはじめて思う。清水寺界隈はあまりにも自分が暮らしていた場所と地続きで、あまり意識したことがなかった。東山から望むかすんだ京都の街、そこにぽつんと佇む京都タワー。それをバックに演じられる六斎念仏。お盆だなあと思う。舞台から降りて舌切茶屋でかき氷と瓶のコーラを。なんだかんだで境内の茶屋に寄るのははじめてで、風情があってよかった。

エディオンを通って阪急の乗り場へ。エレベーターは阪急のまま、トイレはマルイのままで、なんだか泣きたくなってしまった。LEDに照らしだされたゲーム、家電。これも一つの未来だろうが、私はそう思いたくなかった。
帰りの電車、車窓から見えた大きな入道雲。先頭車両の一番前の席からは駅の電光掲示板がカノンのように点滅しているのが見えた。この素朴な美しさをそのまま描けたらと思った。

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