学生時代の街

久しぶりの日記。不思議と日記を書いてないあいだ特に「ああ日記を書きたい!」と思うことはなかった。小説は「ああ小説を書きたい!」と思うことはあるのだけど。けれどもこうしてすっと書きはじめられるのが日記だと思う。


今日は有休を取って京都に住む友人たちへ会いに行った。平日の、特に大きな祭礼もない京都の街を歩くのはほんとうに久しぶりだった。人のまばらな地下鉄、講義へ向かう学生たち、御所を散歩する園児たち。そして明らかな観光客はどこにもいない。適度な密度を保っている京都の街はまだインバウンドの波もなかった学生時代の街だった。

地下鉄四条でバギーを抱えて階段を下っていると、女性が手伝ってくれた。地下鉄に乗ると、高齢のご夫婦が次降りるからと席を譲ってくださった。心から有難かった。今まで「子連れ」というだけで嫌な思いをさせられた経験は圧倒的に京都が多く、なぜ今日は立て続けにこんなに親切にしてもらえたのだろうと考える。そうして地上にでて入ったパン屋で、これまた親切にしてくださった店員さんに「お近くですか」と尋ねられたとき、親切にしてもらえているのは今日が平日で、私はカメラを提げていない、つまり観光客に見られなかったからだと気づく。


久しぶりに会う友人にはわが子と同じ年齢の子どもが各々いて、御所にシートを広げて遊んでお菓子を食べた。まちなかにこんな広大な自然は他にないのでやはり京都はいいなと思う。鴨川と御所(御苑だが)は京都のオアシス。

友人たちは子どもを囃子方へ入れたいと言っていて、またいいなと思う。住んでいないと分からないことは沢山ある(住んだところで友人たちとは住んでいる世界が違うので囃子方には入れないのだけど)。京都にはまた住みたいと思いつつも、それができる未来を描けないのでもう住むことはないと思う。でもいつか住みたいなと死ぬまで思い続けるのだろう。

帰り、暗くなって何も見えない車窓を見つめながら、誰かに会いに京都へ行くのもいいなと思った。

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