2021.02.01 05:37さくらのことこの孤独は私一人のものであり、私一人だけのものではない――。かなえは中学の時に親友と、あることですれ違う。その日からかなえは、ニュースで見かけた事故死した女の子をサクラと名付けて瞼の裏に住まわせ、現実の人物とは向き合わずにいた。大学生になったかなえはサクラとそっくりな同級生、さくらに出会う。かなえの提案で、二人は桜の咲く時期だけ、短期のアルバイトを始めることになる。***第3回百合文芸小説コンテス...
2020.12.22 15:00川を渡る――ねえ、悠、私の髪を切って。東京の中学に通う後藤悠は京都に住む別居中の父とともに暮らすため京都の高校に進学することを目指していた。通いはじめた塾で、同じく母と二人暮らしをする南七海と出会う。二人は仲を深め、その過程で学生講師の三田とも親しくなる。父と暮らせないことが分かった悠は塾を辞めることを決める。腹を立てた七海は三田を退職に追いやり悠を怒らせる。大雨が降った翌日、悠は洪水から七海を助け出しに...
2020.09.30 15:00三日月先輩の瞳は複雑な色をしていた。何もかもを諦めて、それでも何かを望んでいる。僕のものではない、僕のものにはならないまなざし――。京都に暮らす大学生の柴は同じ軽音部の先輩、百のことが好きだ。けれど百には別に好きな人がいるらしい。それでも柴は百に好きだと言い続けるけれど……。― マイクロマガジン社×エブリスタ「ことのは文庫ライト文芸賞」最終候補***エブリスタ:https://estar.jp/nove...
2020.09.29 15:00恋と煙変わっても、大切なものは残っていくから――。百には一歳年下のいとこ、七がいる。百は幼い頃から七に何度も告白されてきたが、そんな七のことを子どもだと言いあしらっていた。百が京都の大学に進学し一年が経った頃、二人は同じ部屋で暮らすことになる。共同生活が始まってしばらくした頃、百は部活の先輩である三葉に惹かれるようになる。三葉と週に一度、銭湯まで歩き、煙草を吸うのを見届けるということを繰り返す百だったが...
2020.05.31 15:00花と小鳥 紫陽花編「花と小鳥」の続編。2019年6月にネットプリントにて限定配信しました。以下の書籍に修正版を収録しています。***収録書籍:『あのころ 京都的少女短編集』https://booth.pm/ja/items/2409289※web版を加筆修正し、コラムを加え掲載しています。
2020.05.11 15:00手羽先の夜私と先輩の、真夏の雨の夜のこと――。大学受験に失敗した私は実家を出て、予備校に通いながら焼き鳥屋でアルバイトを始める。そこで出会ったのが3歳年上のリツさんだった。仕事のできない私に対し、リツさんはそつなく仕事をこなす。背が高くすっきりとした顔立ちでなにをしていても様になった。土砂降りのある日、私はリツさんの部屋へあがることになる。***エブリスタ:https://estar.jp/novels/2...
2020.05.10 15:00すばらしい日々憧れさえあればどこへでも行ける。この素直な心があれば、ふたりでも行ける――。高校生のくるみとみどりは奥田民生が好きなことで意気投合する。ある日みどりは民生が弾き語りをしたとある高校へ行って自分も同じように弾き語りをしたいと言い出す。二人は、高校一年生の最後の日に自転車に乗ってその高校を探す旅に出る。***エブリスタ:https://estar.jp/novels/25661932pixiv:htt...
2020.03.10 15:00坂をくだる坂を下るとき、いつだって私は一人だった――。高校生の美都は同じ画塾に通う菜々子先輩のことが好きだった。ある日先輩は画塾を辞めてしまうが、美都は先輩のようになりたいと絵を描き続ける。卒業式の日、美都は菜々子先輩に好きだと言おうとするが、菜々子先輩から意外な言葉を告げられる。***エブリスタ:https://estar.jp/novels/25612886pixiv:https://www.pixiv...
2019.10.30 15:00ブルー東京という街は海の底のようだ。群れをなさず、皆が思い思いに生き、季節は存在を消す。わずかに射し込むひかりの向きだけが、私たちが同じ場所に生きていることを知らせてくれる――。大学生の奈都は地元京都から東京へ進学した。そしてかつての近所のお兄さん、慧介の介助をすることになる。慧介が左足の自由を失った理由に、奈都は触れられずにいる。***pixivFANBOX:https://rinrinring.fa...
2019.08.08 15:00スタンド・バイ・ミー誰かのためならできる。今はそれが私の正しさだ――。京都のとある女子高に入学した清水わかば。吹奏楽部に入部し、一年生ながらコンクールにでることになったにもかかわらず、彼女の気分は浮かない。そんな時、同じクラスの西井奈都と言葉を交わすようになる。好きなことに迷いのない西井さんの言葉はわかばの胸に響き、わかばは自分なりに音楽に向きあうようになる。***エブリスタ:https://estar.jp/nov...
2019.01.22 15:00花と小鳥この世界には、何も隠されてない。そのままの目で見つめればいいだけだ――。高校生の琴里は近所のお姉さんのあかりのようになりたいと生きてきた。しかしある日、同じく近所に住む奈都に「琴里はあかりにはなれない」と言われる。以来、自分の所在が分からなくなり、自分のことばかりみつめていた。そんな琴里を好きだと言い、近づいてきたのは同級生の花だった。周囲に「変わりもの」と言われる花に、奈都と似たものを感じる琴里...
2018.12.24 15:00夜が明けるあなたは、そのままで綺麗なんだから――。高校を卒業した小夜の元に、大学生の兄が彼女を連れて帰ってきた。彼女の名前は三音さん。三音さんはまるで男の人のような風貌をしていて、自分のことを「俺」と言った。私と、兄と、兄の彼女とのひとときの同居生活。自分のことをうまく掴みきれない女の子二人が出会って、一緒に暮らして、少しずつ変わっていく物語。― エブリスタ「新作セレクション」掲載 2019/1/24付― ...