日記を読んでいる

日記を読んでいる。自分以外の人の。その人に内緒でこっそりと読んでいるわけではなく、それは本という形になって、私の手元にある。


日記が好きだとつくづく思う。視線が一切こちらを向かないことにとても安心する。


もちろんこうして今自分が堂々と読めているということは、ある程度見られることを意識した文章になっていることは間違いない。この文章のように。けれども視線はその人の世界にだけ注がれ、世界の外にいる私に語りかけてくることはない。


まっすぐ自分に届けようとする文章がある。こうすると楽になるよ、こうすると便利だよ、新しい気づきを得られるよ。感動したから、面白いことがあったから、好きなものについて、聞いてほしい。そう言って私の役に立ったり、元気づけようとしてくれたり、布教してくれたりする。それらは読みやすくスマートにまとめられていたり、情感たっぷりに私に訴えかけてきたりする。もちろんそれはそれでいいし、そういうものを読むときもある。けれども想像する余地のない、圧倒される文章ばかりだとシンプルに疲れる。


そんなとき日記を読むとほっとする。何時に起きた、何を食べた、何時に寝た。それだけのことから、その人の人となりや生活、ひいては人生を自然と想像して、勝手に元気づけられたりしている。そしてそうしたなんでもないことに添えられた所感にぐっときたりする。

筆者の書き殴ったような言葉たち。そこから想像すること。とても好きだ。

自分の思うままに書くことと、読みやすい文章にすることは相反しない。そんなことを考えながら今週も日記を書いている。

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