ぺーパーウェル06感想

第6回ぺーパーウェルの読んだものの感想を書こうと思います。ツイッターの方がいいんだろうけれど、日記の方が自然に書けるので日記に書きました。せめてものあれで作者名にツイッターのリンクを貼ったので気になる作品があればぜひとんでみてください。どれも素敵な作品です。

滝みゅぅさん「サイダーと水たまり」

肩にかかった力が無くなって少年と一緒に雲から雲へと飛んでいるような軽やかな心地になる。今いる場所の常識を一度リセットしてくれたり、枠組みを外してくれるのが大人になってから読む児童文学の効用だと思っているのだけれど、そういう意味で児童文学的だなあと癒され、目覚めさせてもらいました。起きてすぐに飲むサイダーのような爽やかさ。


あおきひびさん「まよなかのさんぽみち」

夜の散歩って現実でもどこか夢の中のような感じを纏っていて好きなんだけれど、そんな夜の散歩の夢と現実のあわいの雰囲気が滲みでているお話。お姉さんが夢の中の存在で終わらないのも個人的に好きでした。


うさうららさん/海月漂さん「クロネコ日和」

日記的なおはなしってすごく塩梅が難しいなと思っていて。日常の温度を伝えるのって、日常をそのまま描いても伝わらないのだよ……。けれどもこのお話は日常の温かさがそのまま伝わってきて、ほ~っとしました。どこかでクロやお父さんが暮らしていると思うと自分も暮らしていけるなあと思う、そういう安心感。短歌もイラストとあいまってひょうひょうとしたクロの性格が伝わってきてかわいいなあ!と撫でたくなる。猫飼いたい……。


もももさん「OSANPO」

小学校の頃の通学路マップとエッセイ。自分自身の通学路も思い出しノスタルジックな気持ちになりました。イラスト・デザインともにポップでかわいく、こういう折り方もあるのねと勉強になりました。やっぱりデザイナーさんはすごいなあ。


みたかさん「手にしていたもの」

小さな子の持つ熱っぽい体温が伝わってくる言葉の連なりが懐かしくもあり、どこか切なさも帯びており。こういう視線で世界を切り取っていたこと、たしかにあったはずなのにこの物語を読むまで忘れていたなあ。余韻のある、読み終わった後少し考えに耽ってしまう物語。


めぐるさん「犬とあるくなら」

奈良のエッセイを読んで、奈良よありがとうと思い、私も奈良を大切にしたいと思った。なんだそれって感じだけど、これが読後のいちばん率直な気持ちだったんだよ……。このエッセイから自分が読み取った以上のものがめぐるさんと奈良のあいだにはあって、自分はその欠片を読ませてもらったに過ぎないんだけれど、土地に救われることがあるのだという事実そのものが胸を明るくさせる。なんか、こういうエピソードを知るために自分は生きているんだなぐらいに思える。私もよく創作においてローカルなことを取り上げるのだけれど、こういう、切実にその土地を愛している人に失礼のないような創作をしていきたいなと思った。あと単純になんでめぐるさんは奈良がお好きなのかなと気になっていたのでそれが知れて嬉しかったです。そういう気持ちで読む「早起きしたなら」も良かったです。


まだ読みかけのものもあるのですが、いったんここまでで。

自分の作品もたくさんの方に手に取っていただき、感想までたくさんいただいてあらためてぺーパーウェルさんの規模の大きさに驚きました。その分主催のお二人は大変だったことと思います……。創作歴やのめりこみ度のさまざまな人々が同じ地平に立って楽しめているのは、主催のお二人のお人柄によるところも大きいのではと思っています。ほんとうに、「創作好きなごく普通のひとの手助け」になっているとても素敵な企画だなあと思います。ありがとうございました。

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