辻村深月『琥珀の夏』

自然の中で、こどもたちだけで考えて自身の言葉で語らせるという自由な教育を行っている学校がカルト宗教というレッテルを貼られている一方、家庭や(一般的な)学校は窮屈で画一的な教育を強いてくる。

貼られた記号とその意味を入れ替えることで「普通」とは、「いい教育」とは何かと読者に問いかけてくる本書。

けれどもその後「ミライの学校」の教育方針の穴や、家庭や学校という場の温かさも語られ、決してそれらは二項対立ではないと、「普通」や「良い教育」など本当はどこにもないことを思い知らされます。

子どもが好き。けれどもずっと一緒にはいられない。それはエゴでどうしようもないことなのだと認める過程が今の自分に響きました。

子どもの頃に感じた違和感がきちんと現在につなげて描かれているのがすごかった〜。そして装丁が豪華。ピカピカです。

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