『みんなの旅行記ができるまで』

『みんなの旅行記ができるまで』を読む。面白かった。執筆者の年齢や性別や職業などなど様々で、そこがいちばん新鮮で印象的だった。


一次小説でアンソロジーを組むとなると、性別職業はともかく年齢は偏ると思っている(どの属性も文章から推察したものでしなかいけれど)。要因は分からんがなんとなく似た属性の人々で緩やかなグループができるというか(こういう風に見えているということ自体、自身も一部分(同じような年代)しか見えていないということなんだけど)。


なのでMarktbachさんの、昔の日記を頼りに旅行記を書いて同人誌デビューという話は新鮮だった。やはりなんでもメモは残しておこうと思う。一方、いっとさんの限界社会人が旅行記を作る話は、多分同じ年代ぐらいなのかな〜という感じで。働きながらこれぐらいタフに旅行も同人活動もされている方がいるのだなあと元気づけられる。旅や特定の地域への偏愛具合だけで、これだけ様々な年代の人が、様々な手法を使ったアンソロを組める旅行記ジャンルの懐の深さを感じる。


あと特にまかろにさんの“旅行のメモを書く暇がないまま、それでも旅行に行くのが好きだから、旅行に行くことを繰り返していたら、以前より楽しめなくなっていた。それはつまり旅行を消費するようになっていたからではないか。”という一文が印象的だった。これは音楽や本などでも言えることじゃないかなあと思う。行動し続ける限り何かを消費することは避けられないわけだけれども、消費をポジティブに捉えるキーワードの一つに「顧みる」ことがあるなと思った。

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