あったはずの休日

昼前に神戸へ。十字屋でランチ。赤いギンガムチェックのテーブルクロス、帆船の模型。神戸の洋食店の象徴で一気に旅気分。半地下の店内にレースカーテンを透かして差し込む午後の光が綺麗でシャッターを切る。ミートソーススパゲティは目の前に差し出されるとにんにくのまったりした匂いが漂った。濃い味をかみしめながら、シャッターチャンスを窺いながら、店内の忙しなさとシンクロする。こういう体感は久しぶりだなあと思う。タッチパネルでない、スイッチでもない、伝票がレシートじゃない。そういうお店にしか出せない雰囲気があり、その雰囲気にしか癒せないものがある。二重に懐かしいときを過ごす。

のち自由港書店さんへ。今回は常連のお客さんのお話を伺うことができて楽しい時間を過ごさせてもらった。あの土地に、自由港書店はなくてはならないお店になっているのが分かった。店主さんはもちろん、常連さんも率直な丁寧さをもって接してくださり、だからなんでもない自分の態度の雑さが気になった。こういうとき自分は変に年だけ重ねていると思う。池田彩乃さんの「観光記」、松尾穂波さんのポストカードを買い、るるるるんさんの日記をいただく。


並んでいるZINEがどれもかわいかったり味のあるものばかりで、ZINEっていいなとあらためて思う。最近、小説を書き、デザインを考え、それを実物にすることすべてを自力で行う大変さというか時間のかかり方というのを気にしており。なんせデザイン的なことの実践は高校の選択美術で終わっているし、ペイントソフトもアクセサリのペイントしか使ったことのないような自分が今さら頑張ったところでたかがしれているというか、イラストもデザインも人に任せた方が絶対に早いしクオリティも高いわけで、それなら中身を書くこと自体に集中したほうがいいのではと考えていたのです。


けれども本作りも間違いなく自分のしたいことだよなあと色とりどりのZINEを眺めながら思った。デザインや編集より書くことの方が好きだしやりたいことだし、それなら時間をかけるべきなんだろうけど、だからといってそれは本づくりを切り捨てる理由にはならないなと思った。イラストもデザインもどこまで人にお願いするかは、自分でできるかできないかでなく、より理想に近づけるのはどちらかという選択方式をとれるようになりたいし、そのために自分で作るのをもっとうまくなりたい。


ゾロリの舞台をみてきた同居人と子どもと駅前で待ち合わせて帰宅。子どもにゾロリはまだ難しかったらしい。「パタパタした」「イェイイェイした」と言っていたので歌の部分はわかったのだと思う。図書館で大きいサイズのあおむし絵本も見たとのこと。


夕ご飯を食べてから祖母と母と親子四代スカイプ。バトンタッチして同居人は飲みへ。コロナがなければこういう休日が当たり前だったのかなと思う。近所の散歩ばかりだった週末が変わりつつある。京都の泊まりたかった宿に年末の楽しみとして予約を入れる。

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