宝塚市立手塚治虫記念館『中原淳一展~現代にも響く”美”のメッセージ~』


手塚治虫記念館へ中原淳一展を観に行く。かわいらしいスタイルブックの原画。おとぎ話のシルエット。女性を励まし鼓舞する言葉たち。それを高校生か大学生ぐらいの男女が楽しげに(そして控えめに)話しながら観覧していて、この年代で、こんな共通言語を持つ異性が近くにいるって素敵なことだなと思う。ヘアスタイルの見本帖をみて「かわいい!」と口にするマダム。一つ一つの原画をじっくり観察する女子高生二人組。中原氏の作品が展示されている場に足を運ぶ行為を始めて10年近く経つけれども、客層はずっと変わらない。氏の作品は普遍的だと改めて思う。

展示の最後には『女の部屋』が飾られていた。心臓を患った氏が最後に手をつけた雑誌。刊行した初年に三度倒れ、1年で刊行中止になる。展示されていた年表はその出来事から死まで空欄だった。その間11年。氏は何を考えながら過ごしていたのだろうと思う。

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