桜が満開の頃の京都

今日は久しぶりに一人で京都へ。一人のときにしかできない、かなりの移動をともなう計画を立てて出かける。車窓からも満開の桜がいたるところで見れた。桂から西院のあいだにかけての線路沿いの桜が今年も綺麗だった。


電車の中でSDカードを忘れてきたことに気づき、河原町に着いてすぐ、開店と同時にエディオンへ駆けこむ。はじめてここのエディオンの恩恵に与る。ハンズやふたば書房があった頃を思い出しながらSDカード売り場へ行くと同じような人がいた。いろんな種類があるので迷っていると、おそらく中国出身であろう店員さんに声をかけられた。丁寧に違いについて教えてくださり、会員アプリの登録の仕方も先回りして教えてくれて万事スムーズにいった。


インバウンド全盛だった頃、ある家電量販店で一眼レフを買おうと店員さんに尋ねたら軽くあしらわれたことを思い出した(エディオンではない)。10万近くするものを買おうとしている客、それよりももっとたくさんのお金を落としてくれる人たちがいたあの頃。今は数千円のSDカードを買う日本人にもこうして手間をかけてくれる。ずいぶん遠くへきたものだと思う。


市バスに乗って哲学の道へ。市バスの並び方はこんなにアバウトなのに客同士が言い争ってるのは一度もみたことないなとをどりのはじまった南座を見上げながら思う。

時間に余裕があったので予定の一つ前のバス停で降りる。若王子神社へ。お参りして授与所へ行くとおみくじマッチが復活していた。尋ねてみると、生産工場の関係で一度廃止したが3年前には復活していたとのこと。知らなかった。こんなこと初めて聞かれたと言われる。とても感じのいい巫女さんで、神社の裏に桜が咲いていると教えてくださる。裏をのぼると、濃いピンクの桜が咲いていた。陽光桜という戦没者を弔うためにつくられた品種とのこと。遠くに見える京都タワーを眺めながら旅をしていると思う。哲学の道へ戻るとハンドパン奏者が戦場のメリークリスマスを演奏していた。


桜の季節、蛍の季節。哲学の道はいつも誰かと来ていた。もうおぼろげなその記憶をうっすら思い出しながら、写真を撮りながら歩く。気候のいい時期の疎水沿いはさわやかで好き。ここは山の裾野で京都の街を見下ろせるから特にいい。山手には緑の寺社。家々もゆったりとしている。スマホ片手に彷徨う三嶋亭の配達やさんがいた。


大豊神社へ参拝、のちに哲学の道から外れホホホ座へ。イベントが開催されていて、賑やかだった。ツイッターで見て気になっていた本に加え、読みたい本が次々出てくるから大変。いろいろ手に取るも、最終的に山下さんの日記ZINEと「ガケ書房の頃」にでてきたカフェ本と「ホホホ座の反省文」で迷い、「ホホホ座の反省文」買う。「ガケ書房の頃」良かったです、の一言でも言えたらよかったのだけれども、安定の人見知りで何も言えずにお店を去る。


ずっと行きたかったコイコイ商店でお昼ご飯。各地の民藝品でいただくタイ料理。暮しの手帖の中にいる気分になる。いつかこんな暮らしをしてみたい。サラダも茶碗蒸しも(それらしい名前があったのだけど忘れた)パッタイも手が込んでいて美味しかった。盛り付けされたうつわの産地を紹介してくださるのが初心者にはありがい(しかしこれも忘れる)。

食べ終わったところで雨。数駅なので歩いていこうと思っていたけれども、バスに乗車。数年前までだったら無理をおして歩いていたと思う。京都との距離が変わったと思う瞬間。あと単純に年をとった。


今日いちばんの目的地、古書善行堂へ。ぎゅうぎゅうに並ぶ古書。手前にはリトルプレスや山本さんご自身が編纂された本が。「日々スムース」「ソナチネ」「どんぐり」どれにしよう、悩みに悩み「漱石全集を買った日」「本屋さんしか行きたいとこがない」を購入。そして人見知りを発揮し、そのまま退出する……のが常なのだけれども、話のきっかけをつくり広げてくださる山本さん。すごい……(しかもどういうきっかけだったか忘れてしまうぐらい自然)。


日記が好きだという話にはじまり、その流れで「ことばの途上」をピックアップしてくださり、その流れでリトルプレスの話になり、その流れで入谷コピー文庫の存在を教えていただき。本のマップが頭の中におありなのが会話をしながら伝わってくる。そして心から本がお好きなのだということも。本と人とを対等に捉えられているような印象で、本って人だし人って本よなと漠然としたことを考える。だからこうして人から話を伺いながら本を買うということを人見知りなりにしていきたい。


山本さんはいいなと思ったリトルプレスの出版元には直接かけあって店頭に並べられたり、ものづくりをする人のことを応援されているとのこと。この話の流れで自分も自主制作しておりますと言えればいいのだけれどもやはり言えず。次は言いたい。


バスと叡電を乗り継ぎ恵文社へ。高校生の頃に訪れたとき、オリーブの関連書や中原淳一の本などなどが並んでいた乙女棚は、フェミニズムの本が半分ほどを占めるようになっていて心強く思う(当時からあって自分が気付いていなかっただけかもしれないけれど)。それとこれとは矛盾しないのだと分かってくれているようで。ここにも「ことばの途上」が置いてあり、善行堂を後にしてから頭から離れないし買おうか、いやこれは善行堂で買うべきだ、いやいやと悩み、結局読みたいときが読みどきだ!ごめんなさい!ということで購入する(ごめんなさい!)。尾形亀之助「カステーラのような明るい夜」のポストカードもあわせて。


恵文社を後にしてガトー・モンブランでバナナボートを。そしてマヤルカ古書店へ。山崎まどかさんの「乙女日和」(こんな著書あったの知らなかった)、澤田瞳子さんの「京都はんなり暮らし」(澤田さんの京都本とか絶対面白い)、岩波ジュニア新書の「文学でめぐる京都」(昔古本で買って売ってしまって後悔してたやつ。めぐりめぐる……)、こぐまちゃん絵本を購入。選書が好みだったのでまた来たい。


1万円近く本を買ってしまった。わりとバスを利用したのに満身創痍。早く寝よう。

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