処暑

汗をかいて、内腿にペチコートが貼り付いて、逃げていく子どもを追いかけながらどうすれば無駄がないかと頭を高速回転させている。無駄のないやり方のことばかり考えて、それが遂行できているか確認をとらないまま日々は過ぎて、そんな感じで家を出て自転車を漕ぎ出すと、風が冷たかった。夏休みももう終わりだって言う頃の風だった。それだけでああもう今日はいいなと思った。
人生を簡単にするなという声が聞こえた気がするけれども、それも風が流していく。
簡単でいい、そのままでいい、完成させなくていいと風は言う。そうだよねえ、と、人生を簡単にしてやる、と私は電動アシストされながらペダルをこぐ。こういう風を私はいつも待っている。

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