高橋久美子『いっぴき』


くみこんの『いっぴき』読み終える。時を経るごとにぐんぐん上手くなっていく文章。最後の書き下ろしの部分がもっとも情景やくみこんの心情が伝わってきて、上達することは型にはまることではないのだなと一つの答えをみて安心したりする。とはいえ前半部分も面白く、どこか懐かしく、それはやはりくみこんご自身(とご家族)がしなやかで自由で魅力的な方だからだなあと思う。町が人をつくるというようなフレーズが出てくるけれどもくみこんの文章はまさしく、穏やかで明度の高い瀬戸内の海のようだった。たとえ東京のことを書いていたとしても。そのおおらかさにふれて、私は私のままでよいのだなと思う。むかし住んでいた町のことも書かれていてたまらなく懐かしくなった。

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