須藤佑実『みやこ美人夜話』

ゴールデンウィークにたくさん買った漫画を読み始めている。『みやこ美人夜話』がとても良かった。京都が舞台なのだけれど、それを主に持ってくるでなし、けれども京都でないといけない必然性もあり。特に舞妓から芸妓になるまでを描いたまめ子ちゃんの話は心に沁みた(沁みるという表現がしっくりくる)。大人になったと思う瞬間というのは色々あるけれど、自分のことだけを考えていられた自由さ、かわいいと形容される身勝手さを手にしていられたのは年長者のおかげであるということに気づく瞬間もその一つで。舞妓芸妓というザ京都、かつ一般人に馴染みのないシステムが、そんな女の子が女になる瞬間を一つ一つ描き出す装置として巧みに使われていてとても良かった。作中で描かれるのは京都という非日常でなく、女の一生というずっとずっと続いていく日常。だからなんだかすごくリアルだなあと思うのです。

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