2023.04.27 15:00いちにち明け方の風は知らない場所から吹いてくる打ち捨てられた自転車は誰も待っていない昨日には戻れないことを知るまどろみの午前転んで散らばる花びらの五線譜かさついた昼下がりにも夢はみれるひかりのようなのど飴を三つ舐める暮れなずむ街の片隅で紅潮する頬駆けのぼるより駆けおりるほうがいい地面に撒かれた星を拾う夜中振り向けば画面越しのあなたうつ伏して眠る私のまま私じゃない人生をやり直したかった
2023.04.22 13:43再定義子どものためのオーケストラコンサートを聴きにいく。演奏は美しく、一人ひとりの音が分かることに素直に感動した。この音はこの人が鳴らしているというのが分かる。たった一人の音が、マイクもなしに、四階のこの席まで届いている。たった一人、目の前のあなたに届けるというのはこういうことなのだと思った。気持ちが大事。技術も大事。自分がここにいることを肯定できていないと、あなたには届かない。私は高校時代、吹奏楽部だ...
2023.04.20 13:42成長先月までお世話になっていた園の先生と友達と公園で待ち合わせて一緒に帰る。子どもは始終緊張していたようでよそよそしく、泣きそうになっていた。そして寝る前、突然、「友だちいや」と言い出した。先生も嫌と言う。ついこのあいだまで家族よりも長い時間を過ごしていたのに。けれども薄情とはいえない。これが幼児の性分で、どうしようもないことなのだ。そしてこのどうしようもなさになぜか私が泣きそうになってしまう。こうや...
2023.04.17 14:10GPT寝る前、インターホンのランプがひかっていたので履歴を確認してみた。映しだされたのは私だった。そういえば昼間、鍵を持って出るのを忘れたからインターホンを押して同居人に開けてもらったのだった。私の家を訪れる私。ふいに私が二人になる瞬間。もう一人の私を見つめながら私は眠った。ついに「チャットGPTではこう言っていて」という枕詞つきの依頼がくるようになった(仕事の話)(ちなみにGPTの述べた内容は誤ってい...
2023.04.14 12:33思い出したいこといろんなことが頭の中を流れては消えていく。日記に書かなかったことは無くなるのだろうか。そんなことはない。けれども書けば、思い出せる。書かなくても思い出せる、そこに引っ掛からなかった、書かなければ多分、残らなかったこと。思い出したいこと。思考の流れ。相変わらず読めない日々。長田弘さんの詩をパラパラ読んでいる。先日読んだ若松さんの『悲しみの秘義』もよかった。詩は自由だし、自由にしてくれる。詩は許してく...
2023.04.10 13:12私がゆっくり歩く理由ゆっくり歩くのは、走ったとしていつか抜かされるからではない。ゆっくり歩くのは、私に似合うからではない。ただゆっくり歩きたいからゆっくり歩いているだけだ。
2023.04.06 14:13好きなもの暖かくなってきたので久しぶりに自転車通勤に戻る。何十回、何百回と通った道だけれども、全然知らない寺の名前が彫られた石碑があることに気づく。なにもなくともここらすべて歴史で私は歴史の上を歩いている。そういう感覚が好きだった。だからあの街が好きだった。四月一日の、まあたらしさに浮いた足もそろそろ地面に着きはじめる。くり返しに戻り初夏を待つこの季節もそんなに嫌いではない。
2023.04.05 12:18「今日は思い出す日」あとがき 書いてどうなるとか、それがなんになるとか。ひとつも考えることなく、ごくごく個人的な出来事と心情を、感傷的に、感情的にインターネットにつづっていたあのころ。それが熱だとも思っていなかったあの熱は、いったいなんだったのだろうなと思いつつ、私は今もインターネットに日記を書いている。 学校であったこと、友達のこと、好きな人のこと。どこに住んでいる誰かも分からないけれども自分とどこか似た彼女たちの生活を、...
2023.04.03 13:56新年度3月はずっと2年間お世話になった保育園のことを考えていた。卒園の日は絶対泣くだろうなあ、泣くのは嫌だなあ、そもそも卒園させたくないなあ、泣いてしまうし口頭では上手く感謝の気持ちを伝えられないからどうやって伝えようかなどなど。身近な人に伝えたいことを適切に伝えるということをずいぶん怠ってきた気がする。それは言葉の使いどころとしてまっとうで、今の自分にしっくりきて、何度でも帰りたい場所だった。結局、手...
2023.03.31 15:00新刊『今日は思い出す日』ができました新刊『今日は思い出す日』ができました。日記をベースに散文と少々の写真、短歌、そして巻末に「ウェブ上に日記を書くこと」という雑記をおさめています。あのころの個人サイトを誌面に起こすつもりで作りました。4月9日(日)の日記祭にて初頒布です。日記は1日1ページにおさめ、通しで読むというよりはそばに誰かがいてほしいときに好きなページをぱっと開けるようなつくりにしました。さらに詳しいことはFANBOXの記事...
2023.03.31 15:00今日は思い出す日『今日は思い出す日』 2023.04発行 2022年4月から2023年3月までの日記をおさめた日記本です。日記をベースに散文と少々の写真、短歌、そして巻末に「ウェブ上に日記を書くこと」という雑記をおさめています。あのころの個人サイトを誌面に起こすつもりで作りました。1日1ページにおさめ、通しで読むというよりはそばに誰かがいてほしいときに好きなページをぱっと開けるようなつくりにしています。